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エリザベート・シュワルツコップ「シューベルト歌曲集」 |
漂う気品の高さ(戻る)
このところ余裕無く過ごしていて、自宅のステレオに電源が入ることも稀でしたが、久しぶりにレコード棚を漁っていたら、エリザベート・シュワルツコップの「シューベルト歌曲集」のレコードが出てきました。 明晰で美しいドイツ語で、漂う気品の高さと表現の余裕を持って歌われるシューベルトの歌曲の数々。 そして遠くで鳴く蝉しぐれの響きもなんとなくそれにマッチしていたお盆の午後でした。
不世出のソプラノ歌手、エリザベート・シュワルツコップさんが8月3日、オーストリアの自宅で亡くなったことは新聞などで気づいていましたが、手持ちのCDではクレンペラー指揮によるマーラー交響曲第4番を歌っているのを持っているくらいで、それもなんとなく聴きそびれてしまってました。
このレコードは、2年ほど前に御茶ノ水ディスクユニオンで捕獲した10インチ(25cm)盤。 日本コロムビアの DIAMOND SERIES (定価1,000円)ですが、いわゆる1,000円盤とは違うものですね(今気づきましたけど1,000円盤のダイヤモンドシリーズの起源はここにあったのかもしれませんね)。 もともと歌曲を聴くことが少ないので、何故このレコードを買ったかの記憶はありませんけど、多分安かったから、それに尽きると思います。
しかし値段と内容が無関係なのはこのレコードも同じです。 明晰で美しいドイツ語で歌われるシューベルトの歌曲の数々は、いずれも表情が豊かで気品が高く、なかでも「シルヴィアに寄す」や、高まりゆく感情を表現した「糸を紡ぐグレートヒェン」など絶品ではないでしょうか。 そして伴奏のエドウィン・フィッシャーもまた、そこはかと漂う香りのようなものを感じさせるピアニズムで、抑えた表現ながらぴったりと寄り添い、シューベルトの歌の世界をともに創りあげていますね。
美しいドイツ語による歌曲を聴きながら、遠くに鳴く蝉しぐれが聴こえるのもなんとなくマッチしていたは新しい発見でした。
「シューベルト歌曲集」 A面 B面 楽に寄す(作品88-4) 水の上にて歌える(作品72) 春に(遺作) 緑の田園の歌(作品115-1) 悲しみ(作品22-2) シルヴィアの寄す(作品106-4) ミューズの子(作品92-1) 糸を紡ぐグレートヒェン(作品2) エリザベート・シュワルツコップ(S)
エドウィン・フィッシャー(p)