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ペルルミュテールのショパン円舞曲全集 |
落着いた色彩(戻る)
9月4日にパリの病院にて老衰により亡くなったペルルミュテールを偲んで聴いています。 日本コンサートホール盤ではペルルミュテと表記されているので、こちらの読み方のほうがお馴染みでしょうか。
さてそのコンサートホール盤ではこの他に1962年にACCディスク大賞をとった「ショパン・リサイタル」というレコードもあります。 今回それも聴いてみましたが、個人的にはこちらの「円舞曲全集」のほうがしっくりきました。 最初にペルルミュテールの演奏を聴いて感銘を受けたレコードであるからかもしれませんが、音の粒立ちがまあるくてなんと柔らかいことでしょう。 そしてジャケットの図柄のようにシックで落着いた色彩を感じさせるワルツの演奏です。 このレコードを初めてかけたときに受けた静かな感動がまた蘇ってきました。
話はちょっと違いますが、中村紘子さんの著書を読んでいると、コンクールで勝ちあがってゆく現代のピアニストには期待よりも絶望を感じてしまいます。 この演奏よりも技巧的に素晴らしい演奏は星の数ほどあるでしょうが、演奏の技術というのは人を感動させるための手段であって、いかに自分が感じたものを表現することなのですよ、とこの演奏は穏やかな口調で語ってくれているようですね。 とにかくあまり難しく考えるのはよして、音楽そのものを楽しめるレコードだと思います。 全部聴いたあとに、また第1番の「華麗なる大円舞曲」を繰り返し聴いてみたくなりました。 まったく声高になることなどなく、こんなにも感受性豊かな演奏にまたほっとするひとときが流れました。