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イ・ムジチのヴィヴァルディ「調和の幻想」 |
理屈なんかどうでもよく楽しみたくなる(戻る)
懐かしいジャケットに思わず手が止まってしまいました。 見覚えのある方も多いのではないでしょうか。 中学生の時、お年玉をはたいて「四季」のレコードは買いましたけど(アーヨ独奏、楽譜が付いていました)、「海の嵐」やこの「調和の幻想」は資金不足で買えず、指をくわえ眺めているだけでした。 今ではイ・ムジチへの思いも変わってしまいましたけど、懐かしいので連れて帰りました。 先日、学園前アンサンブルで作品3-11を聴いたことも何かの縁でしょう。
1970年代(もっと前から?、僕は1972年以降しか知りません)、イ・ムジチのブランドは絶大でしたね。 「四季」のレコードは売上第1位を何年も独走していましたし、この「調和の幻想」や「海の嵐」もよく売れていたレコードです。 イ・ムジチ、今ではちょっと古臭い団体といったイメージで、穏健で温和、そしてちょっと暑苦しい、そんな感じかな。 別に古楽器の演奏が好きというわけではないのですけれど・・・
針を降ろし、協奏曲第6番イ短調が流れだすと、リズム感のある通奏低音に乗せて歌うのようなヴァイオリン、まず感じるのは安心感。 これいったい何なんでしょうね。 またB面では第10番、J.S.バッハの4台のチェンバロのための協奏曲の原曲としてお馴染みのメロディが駆けてゆきます。 ここでもウキウキするといった感じはなく、ただ自然に音楽に身を任せてしまいます。 理屈なんかどうでもよく楽しみたくなる、そんな感じです。
馬場健さんが書かれた解説「イ・ムジチについて」には以下のように記されていたのを紹介してこの稿を終えたいと思います。
このイタリアの<音楽家たち I Musici>ほど、<清冽>とでもいうべき澄み切った新鮮な感銘を与えた合奏団は、ほかにはなかったのではないか。 ・・・(略)・・・
弓を全部使わない、弓の先だけを使ってひく彼らの奏法は、ヴィヴァルディにふさわしい明晰さをもたらした。 彼らのアンサンブルは緊密で、少しの隙もないが、それでいて、彼ら一人一人は充分に自分を主張しながら、演奏する。 まさに<音楽家たち>である。