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ドラティのシベリウス/交響曲第2番 |
カッコ良い演奏(戻る)
年始、いつもはバロック音楽なのですが、ちょっと趣向を変えてすっきりとした曲・・・としてチョイスしたのがアンタル・ドラティ指揮ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団によるシベリウスの交響曲第2番。 透明感の高い演奏ですが、ドラティらしい強靭さでもって、ぐいぐいと引っ張っていくのが実にカッコ良い演奏です。
1972年発売のRCAグランプリ1000シリーズの1枚。 この当時から廉価盤フリークだったのですが、このレコードについてはまったく記憶に残っていませんでした。 2003年10月に御茶ノ水ディスクユニオンにて200円にて捕獲しています。 廉価盤のシベリウスというと、パイから出ていたバルビローリ盤、キングのMZシリーズのアンソニー・コリンズ盤が常連だったからでしょうね。 あっ、こんな録音があったんや、と思って持ち帰りました。
これが発売された時の週刊FM誌の「廉価盤コーナー」の記事もあたってみましたが、やっぱりコメントがありませんでした。 このコメントに左右されて貴重なお小遣いを投資していたので、コメント無しだとやはり記憶にないのも当然かもしれません。
しかもこれが発売された月には、多数の廉価盤の発売されていました。 ポリドールが満を持してヘリオドールの1,000円盤を投入した月でもあり、まずこれで20種(21枚)。 これに対抗するかのようにキングから2枚組のGTスペシャル2000が10種(20枚)、フォノグラムではグロリアで5種(ベーム/VPOの第九,リヒテルの展覧会の絵ほか)、クレモナで1種(メンゲルベクのマタイ)などを再発、コロムビアはパルナス、ヒストリカル、ダイヤモンドの各シリーズを足して6種、テイチクもバルビローリばかりで5種(巨人ほか)、それにRCAグランプリ1000も18種(20枚)ですから、今では信じられないほど多量のクラシック・レコードが市場に投入されていました。
そんなことはさておき、ドラティ指揮によるシベリウスの交響曲第2番。 当時、まったく注目されていませんでしたが、これは素晴らしい演奏ですね。
まず何よりオーケストラの響きに透明感があります。 しかも強靭な響きが魅力的です。 オーケストラ・ビルダーであるドラティの薫陶によるものでしょうか。 特に後半楽章、推進力を持って速いテンポ設定でぐいぐいとオケが進んでいくのは壮快です。 盛大にオケを鳴らしても、透明感の高い響きが失われることがありません。 ついついステレオのボリュームを上げて聴きたくなるような感じです。 前半楽章も速いテンポ設定で、ラプソディックな響きの綾を織り成しながら高揚感を高めてゆきますね。 いずれもキレ味よく、明快な感じ。 北欧風の叙情性を求めるむきには好まれないかもしれませんが、現代的で爽やかな演奏だと思います。 カッコ良い演奏です。