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バッハ以前のオルガン音楽 |
しみじみと楽しむ(戻る)
いかにもエラート盤といった趣きを感じさせるレコード。 J.S.バッハより以前のオルガン音楽について、詳しいわけでは毛頭ありませんが、質素・素朴といったものとも違う、どこかしみじみとさせるオルガン音楽が気に入っています。 秋の夜長に楽しむのにぴったり、そんな感じのするレコードです。
J.S.バッハ以前というと、J.S.バッハがわざわざ聴きに行ったというブクステフーデが有名です。 このエラート盤のLPでもブクステフーデのオルガン名演集(REM-1028-RE)があって、これも持っていますけど、今回紹介するレコードはそれよりもまだ以前のオルガン音楽が集められています。
買ったときには少々退屈かも・・・なんて思ってみたりもしたのですけど、しみじみと聴き込んでしまいますね。 個人的にはA面が、重々しくなくって好きです。 オルガン音楽っていうと、圧倒的な音圧とか、重厚なフレーズの組み合わせという印象を持ってしまうのですけど、それはもっと後の時代のようです。 A面について順を追って簡単に感想を書くならば・・・フレスコバルディの「聖体拝領のためのトッカータ」「聖体拝領のためのカンツォーネ」、フレスコバルディの名前は聞いたことあっても曲を(意識して)聴くのは初めてでしょう。 いずれも簡潔な書法ですが、それがかえって深みも感じさせるで聞き入ってしまいます。
ブロウの「トッカータ ニ長調」、初めて聞く名前です。 曲の最後のほうの力強さは、バッハのトッカータとフーガもちょっと連想させますけど、この時代のオルガンにはまだペダルがないんだそうです。 ぐっと迫ってくるものの、圧倒的という感じではありません。
スヴェーリンクの「主題と変奏」、ブクステフーデの師匠にあたる人でしょうか(以前そう聞いた記憶もありますがあやふや)。 しみじみと落ち着いた音楽で、ゆったりと時間が流れてゆくような感じがして素敵です。
コルレア・デ・アラウホの「カンシオンの形式によるティエント」、またさっぱり知らない人と曲ですけど、オルガンの音色の変化があり、それが割合と単調な感じで次々に切り替えられてゆくのが親しみやすいみたい。 深みよりも軽やかさ、軽快さを感じさせます。解説には、ここに収録された曲目説明はなく、オルガン音楽の歴史のような事柄が延々と述べられています(オリヴィエ・アラン/訳:掛下栄一郎)。 これによると、17世紀はリュートとともにオルガンの世紀とのこと。 18世紀になると壮麗な美しさを誇ったオルガンも次第に衰退の途をたどり、ヴァイオリンの時代が開始、やがてオーケストラ、ピアノフォルテ、ついでオペラの時代へと移行していったとのこと。
なるほどね、オルガンって、そういえば、1台でさまざまな音色が出て音域も広く、ある種オーケストラとして機能しているような感じがしますね。 今さらながら気付いたのは情けないですけど、そんなことも考えながら、バッハ以前のオルガン音楽をしみじみと楽しんでいます。
RE-1069 バロックの大作曲家たち-9
バッハ以前のオルガン音楽フレスコバルディ 聖体拝領のためのトッカータ フレスコバルディ 聖体拝領のためのカンツォーネ ブロウ トッカータ ニ長調 スヴェーリング 主題と変奏 コルレア・デ・アラウホ カンシオンの形式によるティエント ブルーンズン プレリュードとフーガ ホ短調 パッヘルベル 幻想曲ト短調 チェルノホルスキー フーガ イ短調 グリニー 2部からなるテノール・クルームホルン マリー=クレール・アラン(org)
オーク大寺院大オルガン 1960年4月10日録音