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ベールマン指揮のピエール・ドゥ・ラ・リュー「レクイエム」 |
叙情的で心休まる音楽(戻る)
コロムビア・エオリアン100シリーズの1枚。 1976年2月に発売されたもののようで、ジャケットには「中世・ルネサンスの再発見−7」と書かれています。 いつ買ったのか記憶にありません。 多分、今は無き数寄屋橋ハンターで捕獲したものでしょうね。 それはともかく、時々、無性にこのような音楽に身を委ねたくなるときがあります。 そんな時、このレコードを取り出して、ぼけっ〜と聴いているのが好きです。 器楽を除いた合唱のみのアンサンブルが素晴らしく、叙情的で心休まる音楽です。
普段ならば、ステレオから賑やかな音楽をあふれ出させて元気をつける・・・なんてことも多いのですけれど、何かの拍子にそんなことすらも煩わしくなってしまうようなことがあります。 ゴロゴロしていたくて、ぐ〜たらと休日を過ごし、とにかく身体を休めておきたい・・・ そんな気分の時(やっとそんな気分から脱したみたいですけど)、このレコードをよく聴いています。
指揮者のマルティン・ベールマン、合唱団のシュパンダウアー・カントライについては全く知りませんが、ピエール・ドゥ・ラ・リューのレクイエムという曲については、かつてフィリップスより出ていたラヴィエ指揮パリ・ポリフォニーク・アンサンブルの演奏のものをよく聴いていました。 愛らしいジャケット・デザインは、今でも中古レコード屋さんでよく見かけますので、けっこう売れたのではないでしょうか。 フィリップスの「宗教音楽1300シリーズ」にも含まれていましたよね。
さてラヴィエ指揮パリ・ポリフォニーク・アンサンブルの演奏は、声部のひとつを器楽に割り当てていることもあり、ちょっと華やかな美しい演奏になっています。 しかしこのマルティン・ベールマン指揮シュパンダウアー・カントライの演奏は、純粋に人の声だけで構成されているところが違います。
テクニック的なことには不案内ですが、スコアが異常に低い音域で書かれてあるそうで、1B音がひんぱんに出てくるためそのままでは歌えず、全体を完全4度高く移して歌っているそうです。 それでもEs音が出てくる部分については、重厚さを保つため部分的に高く歌うことはせず、そのまま歌っているようなことが解説に書かれています。
とにかく、ともすると単調になってしまいそうなア・カペラなのですが、決して重くならず、叙情性を保ち、心にすっと染み入ってくる音楽が実に素晴らしい。 歌っている、という行為そのものを消してしまい、純粋な声の調べが延々と続いている、といった感じもする演奏です。
蛇足ですが、黒い円盤のレコード盤をターンテーブルに載せる、そのような一種儀式にも似た行為と、この演奏はとてもマッチしているかもしれません。