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ボールト/LPOのベートーヴェン「英雄」 |
悠久の響き(戻る)
日本コロンビア・ダイアモンド・シリーズの1枚(Budget Sound,inc.原盤)、国内廉価盤LPは中古屋にも売れないとのことで Hayes さんより有難くいただいたもの。 クラシック音楽を聴き始めた頃、いやつい最近まで、英国人と英国のオケの演奏するベートーヴェンなんて、と思っていたが、そんな偏見は捨てたいと思う。 土井たか子ではないが、ダメなものはダメ、いいものはいいのである。
さてボールトというとヴォーン・ウィリアムズの交響曲やらホルストの惑星になってしまうが、ドイツ音楽も素晴らしい。 この「英雄」もまるで浮ついたところなどなく、何より安定感のある演奏である。 弦楽器を中心にして音楽が組みたてられ、しかも中低弦楽器をたっぷりと弾かせている。 じつに堂々としたものである。 全般的に遅めのテンポ設定で、時折チェロやヴィオラなどが対旋律を謳うように弾かせているのもまた特徴的である。 悠久の響きとでも言おうか。
ただオーケストラがLPOであるためか、これらが全般的に穏当に響くきらいがある。 ともするとムーディに捉えられるかもしれない。 またその反面(たぶんこの時代なのでピストン式)トランペットがストレートな音で割り込んできたりもするので、純ドイツ志向者からは底が浅いと思われるかもしれない。 しかし、音楽を流れにしたがって聴いてゆくと、実にオーソドックスなのではないだろうか。 第4楽章の冒頭、各弦楽器群の掛け合いなども実に見事である。 この楽章、管楽器を全般的に抑え気味にして入念な弦楽合奏が展開されている。 ボールトの実力を感じさせる英雄交響曲であると思う。