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ペーター=ルーカス・グラーフによる バッハ/音楽の捧げ物 |
真摯で深いバッハの世界(戻る)
スイス生まれのフルート奏者、ペーター=ルーカス・グラーフとその仲間達とのセッションによるJ.S.バッハの「音楽の捧げ物」。 「音楽の捧げ物」というとクルト・レーデルのレコードを真っ先に思い出してしまうのですが、ここではより絞り込んだ編成による真摯で深いバッハの世界が聴けます。
もともと「音楽の捧げ物」の楽譜には指定楽器の記載がない部分があり、どのように演奏するのかは演奏者の考えに従うのですが、このレコードでは室内楽的な編成とし、緊密で引き締まった演奏を展開しています。 なお「6声のリチュルカーレ」では、3台のチェンバロによる演奏としているのが特徴的です。
クラーヴェス・レーベルのレコードです。 ジャケットの写真、セッションの様子を上から撮影した写真が印象的ですね。
演奏は、それほど印象的というものではありませんが、誰一人突出することのない真摯な演奏に心惹かれます。
リーダーのペーター=ルーカス・グラーフのフルートの響きが暖かい「5度のカノン風フーガ」。 そして先にも書いた「6声のリチュルカーレ」は、3台のチェンバロの響きが織り成す深遠な世界なのですが、一斉に鳴っているわけではなく、やや淡々とした感じがしないでもありませんけれど、終結に近づくと次第に熱がこもってきますね。 そしてしっとりとした「トリオ・ソナタ」。 冒頭のラルゴがやや遅めのテンポ設定かしら、ゆったりと始めて、アレグロでの格調高いアンサンブルへと繋がってゆきます。いずれもルーカスと気心の知れた仲間たちによる真摯で深いバッハの世界が聴けるレコードです。
フルート :ペーター=ルーカス・グラーフ
バイオリン:ハンスハインツ・シュネーベルガー, イルゼ・マティウ
ヴィオラ :ヴァルター・ケーギ
チェロ :ロルフ・ローザー
チェンバロ:イェルク・エーヴァルト・デーラー
クリスティーネ・ダクセルホーファー
エルンスト・ケーラー録音:1968年12月、スイス・アーラウ市教会