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カール・ゼーマンのモーツァルト「戴冠式」「ピアノソナタ K.331」 |
端正で味わい深いモーツァルト(戻る)
カール・ゼーマン、ハンス・シュナイダーハンの伴奏者として有名なピアニストですね。 彼がモーツァルトを弾くレコードを偶然見つけたのが2002年10月。 飾り気が無く、端正で味わい深いモーツァルトが気に入りました。 時々引っ張り出して聴いているお気に入りのレコードです。
1910年ブレーメン生まれ、ライプティヒ音楽院の教会音楽学校でピアノとオルガンを学んだカール・ゼーマン。 最初は教会オルガニストとしてキャリアをスタートし、1936年よりピアニストに転向したそうです。 ヴォルフガング・シュナイダーハンの伴奏ピアニストとして、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタなどのCDで今も演奏を聴くことができますが、ソリストとしての録音は入手困難みたいです。
このレコード、ペラペラのジャケットで「\1,500」「グラモフォンレコード」「日本グラモフォン株式会社」と書かれています。 このような様式からして1960年代のレコードのような感じがしますが、どこにも発売年代を示す記載がありません。 モノラル録音ですが、かなりしっかりとした音で収録されていますので、1950年代の録音と推測します。 なお「戴冠式」で指揮をとっているフリッツ・レーマンは1956年没だそうですので、これ以降の録音ではないことは確かです。
肝心の演奏ですが、「戴冠式」「ソナタK.331」ともに飾り気が無く、端正で味わいの深い演奏です。
モノラル録音ということもあり、響きの煌びやかさが抑制されているような気がしますが、フレーズの処理などかなりぶっきらぼうな感じで突き放すような感じ。 時代がかってロマンティックに揺らすなんてことなどなく、実にあっさりとした演奏でしょう。 「戴冠式」では、オケもまたそんな感じでストレートな伴奏をしてスパスパっと曲を進めます。 また「ソナタK.331」の冒頭や、有名なトルコ行進曲の部分など、抑揚をつけずにトツトツとしたピアノのタッチには素人っぽさも感じます。一聴すると所謂モーツァルトらしい豊かさが無いのに、聴き進むうちに、ああっやっぱりこれはモーツァルトだな、モーツァルト以外の何物でもないな・・・と思えてしまうから不思議な演奏です。 このような演奏を手堅い演奏って言うのでしょうかね。
とにかく、端正で味わい深いカール・ゼーマンのモーツァルトにちょっとハマっています。