![]() |
|
TOP|演奏会感想文|廉価LP|コンサートホールLP|廉価CD|資料室|掲示板 |
サヴァリッシュ/ドレスデンのシューマン交響曲全集 |
直情的なロマンティシズムも感じさせる(戻る)
サヴァリッシュの名前を見て、巧いけど真面目で面白くないんだろうなぁ・・・って思う人は、僕と同年代かそれ以上の年代の方、しかも1970年代にTVの「N響アワー」でサヴァリッシュさんの演奏に接していた人ではないでしょうか。 僕もそんなふうに思っていた一人なのですが、同じ時代に録音されたこのシューマンの交響曲全集を聴くと、えっこれがサヴァリッシュ、なんて思えてくるのでないでしょうか。
構成感がはっきりし、格調高い音楽なのは予測の範囲内なんですけど、クライマックスでは鳴らすべきところを豪快に鳴らしてて、ちょっとやりすぎでは、なんて思うほどです。 でも、全体のスケール感を大きくもたせているからでしょうか、傍若無人っぽくやっていながらも決して荒っぽさは感じさせません。 これはオーケストラがシュターツカペレ・ドレスデンだからかもしれませんね。 直情的なロマンティシズムも感じさせる素晴らしいシューマンの交響曲全集です。
第1番、第1楽章の導入部から主部に移ったあと惹きつけられっぱなしです。 ホルンの強奏、ティムパニの強打、弦楽器もリズムミックにぐんぐん速度を上げていきます。 終楽章も響きこそ柔らかいんですが、ティムパニの強い打音がこだましてます。 豪快さと爽快さを併せ持った音楽です。
第2番、一番人気のない曲ですが、第4番とともに大好きな曲です。 オケの資質の高さが存分に発揮されているからでしょうね、構成感をはっきりとさせた曲展開なのに非常に格調高い音楽となっています。 残響の多さも一役買っているかもしれませんね(ドレスデン、ルカ教会)。
第3番、弦楽器を主体にした音楽ですね。 ホルンの響きも弦の色によく合ってます(ペータ・ダムでしょうね)。 第4楽章のコラール風な音楽、荘重な感じがオルガン・サウンドみたいです。 終楽章はちょっとテンポをゆらして緩急つけるような場面もありますね。
第4番、導入部の格調高さ、そして主部になるとまたホルンの強奏、コントラバスもごうごう鳴り、ティムパニの強打。 このティムパニが念を押すようにして主題の呈示を終え、すぐに切り返しす熱い音楽。 音楽が渦巻いているような感じがすごいですね。 エンディングもまた重戦車が疾走しているようです。
サヴァリッシュの演奏では、1960年代末に同じシュターツカペレ・ドレスデンを振ったシューベルトの交響曲全集がフィリップスに録音されています。 こちらも活気のある演奏です。 僕の場合、こちらを先に聴いて偏見を捨てることになりました。 こちらのCDはちょっと入手不可になりかかっていますが、シューマンの交響曲全集のCDは ARTリマスター盤が出ているようです。 なお僕の持っているのは今年始めに御茶ノ水ディスクユニオンで600円で捕獲したカートンボックス入りの見本盤LP3枚組です(CDもARTリマスタじゃない盤ですが第2・3番は既に持ってました)。
とにかく、シューマンの交響曲は好きだけど、漠然とサヴァリシュなんて、な〜んて思っている方がいらしゃるのなら、ちょっと考えを改めてみたほうが人生が愉しくなると思いますよ。