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コーガンとシルヴェストリのベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 |
清濁あわせ持った演奏(戻る)
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲って苦手なんです。
長いし、聴いているとしんどくなってくるというか・・・端的に言うと、飽きてしまうんですよ。 楽聖ベートーヴェン様の作曲なので有り難く聴かなくては・・・と思うものの、すみません、修行が足りなくて(平謝)・・・そんな感じなのですけど、このコーガンとシルヴェストリによる演奏は別格です。 実に面白い。レオニード・コーガンのヴァイオリンの響きってとても清潔な感じがします。
聞き手の心にまっすぐに響いてくるみたいで、まるで鋭い刃物で音楽を切り開いてゆくような感じがします。 聞いている側としても背筋をピンと伸ばさなくてはいけないような気もします。この演奏もまさしくそういったものなのですけど、このコーガンに相対するシルヴェストリの指揮によるオケがとにかく凄い。
ヤケクソ気味にオケをドライヴしててまさに豪放磊落。 第1楽章や第3楽章での打付けるような伴奏、コントラバスの強奏など、まるで棍棒を持って指揮しているのではないかと思えるほどの力の入れようです。
これによってコーガンも気合を入れ、より一層ヴァイオリンの切れ味を鋭くして対抗しているようにも思えるのは考えすぎかしら。清濁あわせ持った緊張感があり、一粒で2度美味しいというのは違うかもしれませんけど、とにかく飽きることのない演奏です。
一般的なベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲としての評価は低い(というか無視されているような)演奏ですけど、とても面白いと思うのですけどね。